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バーニングワイヤー

バーニング・ワイヤー

バーニング・ワイヤー

久しぶりにリンカーンライムシリーズを読みました。ハードカバーにて。リンカーンライムシリーズって何?という人は、オイラが昔に書いたこちらのエントリ参照ください。


リンカーンライムシリーズを読まずして推理小説を語る事なかれ

リンカーンライムシリーズを簡単に説明すると、ほこりや髪の毛等の微細証拠から犯人を割り出す安楽椅子探偵ものです。安楽椅子探偵ものというのは、主人公が現場に行かず家の中で解決する推理小説なんだけど、主人公のリンカーンライムは首から上と、手の一部しか動かせない文字通りの安楽椅子探偵*1超絶頭脳の持ち主で、ちょっとした証拠から、あっという間に犯人を追い詰める手腕は本当に圧巻です。


そして、このシリーズの大きな魅力は、何度も何度も物語をひっくり返すジェットコースターのような展開です。どんでん返しがあるというのがわかっていてもだまされる。そして気持ちよくだまされることが快感になったりします。


さて、バーニングワイヤーは久しぶりに発売されたリンカーンライムシリーズ。


オイラの結論から言うと「シリーズ最高傑作(ただし、シリーズ全部読んだファンに限る)」という感じでした。もちろん単体でも非常に楽しめると思うんだけど、シリーズを全部読んでいるとおもしろさが倍増します。過去のキャストがかなり出てくるので、「おお、あのキャラが!」と楽しめること請け合いです。こういうのってシリーズ物読んでいる人の特権だよね。


今回ももちろんお約束のどんでん返し*2が多数組み込まれてます。そして、そのひっくり返すネタがほとんど読めかった。もちろんシリーズお約束のひっくり返し*3は予想できたんだけど、それ以外の大ネタはほとんど見破れなかった。そして、物語に丹念に組み込んである伏線にうなりまくるばかり。はーなんで気がつかなかったんだろう、と思ってため息をつくしかない。恐るべき作品。推理小説ファンは間違いなく読むべきシリーズだと思います。


ともあれ、今作バーニングワイヤーはシリーズファンは間違いなく買って損なし。ハードカバーで買って悔い無し。と、そんな作品でございました。


英語版が発売してから2年後の邦訳。本当に待ちに待った邦訳。その本当に待ちに待った作品が、期待通りの出来というのは本当にすごいし嬉しいな、と心底思う。おかげで睡眠不足になりましたが、心地よい睡眠不足でした。


ともあれ、リンカーンライムシリーズ未読の方は、シリーズ第一作であるボーンコレクターから読んでみるのをオススメします。正直、このシリーズを頭から新鮮な気持ちで読める人がうらやましいです。初めて読んだ時は本当に衝撃を受けたからなぁ。。。


さて以下はネタバレでバーニングワイヤーの感想を書きたいと思います。あとリンカーンライムシリーズの多少のネタバレも入れてるので、読む人は注意してくださいね。





序盤の展開はボーンコレクターを思わせる内容。微細証拠を丹念に積み上げていき、犯人を追いつめていく。物語も序盤であっさり犯人は同定。次の犯罪も大惨事になる前に未然に防ぐも、なんか「あれ?これこのままじゃ終わらないよね?」と思わせる展開。


そんな中で、パーカーキンケイド再登場。オイラが期待していたような「筆跡鑑定で犯人を徐々に追い詰めていく」というような大活躍では無かったけど、登場してくれてだけ嬉しかった。そして当初は重要じゃ無いと思われていた筆跡鑑定が実は大きな証拠だったという展開にびっくりした。なぜ犯行声明の筆跡が荒れているのか?という理由が読んでいて全く気がつかなかった。脅されて書いていたから荒れたのか、と。まさか、こんなのが伏線になっているとは全く気がつかず。


それとキャサリンダンスも同様に登場するけど大きな活躍はせず。まぁ、冷静に考えるとライムチームを際立たせるために、二人の活躍を抑えたのかな、とそんなことを思ったりもした。もうちょっと活躍した方が個人的には好みだったけど。彼女の場合はスピンオフ作品で大活躍しているから良いのかな、とか思ったりした。


あと前作ソウルコレクターで初登場のライムのいとこ、アーサーも再登場。リンカーンと仲直りしている姿も良いなぁ、としみじみ。それと前作から引き続きリンカーンの身体機能が徐々に治っている描写も良い。シリーズファンなら、ああよかったな、と思う瞬間。もちろん、ラストも同様ですね。


そうそう物語の終盤でまさかのローランド・ベル登場。本当にちょい役的な登場だったけど、懐かしい懐かしい。思わずニヤニヤしちゃいました。


さて推理では、微細証拠を積み上げるけど、それがすべて役に立たないというのは面白かった。これまでの物語のアンチテーゼみたいな感じで。積み上げた微細証拠自体がミスリードという展開は前もあったけど、それを上回るひっくり返し感。見事でした。


そして最後の最後でまさかのウォッチメイカー登場。出てきた瞬間、ああ、びっくりさせるにはこれしかないよなーとは思ったけど、ほんとびっくりした。様々な犯罪を隠れ蓑にウォッチメイカーが暗躍するというのは面白い。ある意味、前々作品のウォッチメイカーと前作のソウルコレクターを踏襲している展開でもあるので。このびっくりさを味わうためにもシリーズ全部読む必要があるというか。シリーズ読んだ人ほどびっくりするという仕掛けは嬉しい。


またフレッドデルレイの活躍には非常に胸を打たれた。クラウドで情報を集めることができるので自分は用無しか、と心は揺れながらも決定的な証拠を見つけ出し、大きな示唆をリンカーンに与える役目を担うとか格好良い。奥さんも良い味だしてる。そしてクラウド情報で集めたテロのオチにもワロタ。そうくるか。そして10万ドルの落としどころもいいなぁ、ほんとこの物語、大好きだ。


あと10万ドル与えた相手がデルレイの前に現れなかった理由がまさか、という感じ。あれが伏線になるとは思わなかった。つながった瞬間「ああああああ」と声を上げてしまった。本当にうまいなー巧みだなーと。


それと現場に落ちていたバネがまさか、あの男を示唆していたとはまったく気がつかなかった。はー確かに言われてみれば、、、という感じなんだけども。まぁ、彼にしては大きな大きなミスだったよな、と思う。


ともあれ序盤で微細証拠から犯人を同定したけど、「たぶん、これ真犯人じゃないよね?」と考えてしまうのは、もはやディーヴァファンのお約束。予想通りだったんだけど、物語を読み進めるうちに「あれ、これはやっぱり真犯人か・・・」と思わせる手腕が見事。そして最後にひっくり返されて、だまされた!という感覚に包まれるのもお約束。


あと最後のライムが犯人に追い詰められるシーンも、「ああ、これはライムが仕掛けた罠だよね」と気がついてしまうのももはやお約束。お約束だとわかっているけど、どきどきしちゃうのもお約束。非常に楽しい。


それとディーヴァファンとしては、シリーズの中にコフィンダンサー、ウォッチメイカーという超名作があるので、あの2作品はそうそう超えられないよねと思いつつも、「あれ以上の衝撃が欲しい」と思って読んでいるのもまた事実な訳で。今作はその期待を軽々と超えてくれて非常にうれしかった。というか、マジでディーヴァ恐るべし。というか、次回作以降大丈夫か?と余計な心配をしてしまう。


ただ、2013年刊行予定のライムシリーズの新作にもすごく期待したい。邦訳されるのは2015年かなー長いなー でも、人生の先に楽しみがあるというのは本当に素敵だな、と思う。ジェフリーディーヴァと同じ時代に生きられて本当に幸せだよな〜、とか思ったオイラでありました。

*1:電動車いすに乗ってるけどね。

*2:というかちゃぶ台返し

*3:詳細はネタバレになるので後述