孟嘗君がとにかく面白かった!
孟嘗君(もうしょうくん)全五巻。もう夢中になって最後まで読んじゃいました!*1
- 作者: 宮城谷昌光
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/09/04
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
時代としては紀元前200年くらいの話。とてもその頃の話とは思えないくらいの豊潤な物語。人間というのは2000年経っても変わらない生き物なのかな、なんて思うくらいに。*2
さて孟嘗君と言えば、食客数千人とか、鶏鳴狗盗とか、狡兎三窟とか、各国の宰相を歴任した事でも有名ですけれども、なんとなくどんな人か?あんまりよく知らなかった。で、早速1巻を買ってみて読んでみた。そうしたらこれが面白い面白い。読む手が止まらない止まらない。あっという間に2巻突入。ただ、読んでも読んでも孟嘗君が育ってこなくて赤子のまま。
ともあれ、宮城谷さんの孟嘗君は育ての親の「白圭」無双な小説なんだよね。とにかく白圭が猛烈に格好良い。「なにこんな大人になりたかった!」と思わんばかりの。運が良すぎるし、商才はあるし、女性にもてすぎだし。もはや主人公と言っても過言じゃないくらいの存在感。むしろ「白圭伝」で良かった気が。そして孟嘗君が活躍するのはほぼ4巻からという主人公不遇なのも、宮城谷さんの味と言えば味。この方は、筆が滑り始めると主人公関係なしに物語を進めちゃうからなー ただ、その滑った筆が作り出す物語がまぁ、面白いこと面白いこと。
当初はこの時代の事は、あんまりよく知らないから面白いなーとか思って読んでいたんだけど、実はよく知っている時代でした。この時代は合従連衡の時代なんだよね。それを思い出したころに孫臏*3やら龐涓が出てきて勝手に胸熱。孫臏も主人公の一人のような存在感を示して出す策、出す策が全部的中したりしてなにそれ凄い的な感じ。ちょい役で、蘇秦、張儀が出てくるのも、おおおおおとか思ったり。やっぱりこの時代好きだなぁ。
ちなみに主人公である孟嘗君は大人になってもあんまり活躍しなかったイメージ。食客たちは縦横無尽に働くんだけど。まぁ孟嘗君が動かなくても他の登場人物達が勇猛果敢に動きまくるので、最後まで飽きずに読めました。読み終わった瞬間に「また頭から読もうかな?」と思うくらいに面白かった。
あと、宮城谷さんが書いた時代的に後日談である「楽毅」は既に読了していたんだけど、また楽毅も再読したいなーとそんなことを思ったりした。
あと全く余談ながら、孟嘗君の物語中にはダメ君主がたくさん出てくるんだけど、その対処方法が大体において「仕える君主を代える」という感じだったので、なんとなく暗鬱とした気持ちになった。人はそう簡単には変えられないけれども、やっぱり君主というのは選ばなきゃダメなんだろうな。
ともあれ、久しぶりに歴史小説を読んで超楽しかった。定期的に歴史小説は読みたいなーとそんなことを思った。
- 作者: 宮城谷昌光
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/03/28
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (33件) を見る