(34日目)なぜジャイキリ第152回が泣けるのか?
第152回を読んだ時に、四回読んだ。四回泣いた。
単行本16巻に描かれているこの物語は、本当にオイラの心を鷲掴みにした。
- 作者: ツジトモ,綱本将也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/23
- メディア: コミック
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これからジャイアントキリング(以下ジャイキリ)に関するものすごいネタバレをするので、読んでない人は読まないでくださいね。
基本的にオイラはジャイキリを連載で読んでる。先入観なしに、この回を読んだときはマジで号泣だった。なんだか分からないが魂が震えた。そしておもむろにもう一回読み直して、また泣いた。風呂に入って、また読み直した。また泣けた。そして、翌朝、「もう泣かないだろう」とか想いながら読んで、また泣いた。我ながら泣きすぎだ。
自分の魂の琴線にココまで触れるのは何故なのか?というのが自分自身でも非常に気になるところだったので、何故涙が出てしまったのか、というのを自分ながらに分析したいと思ってこんな文章を書いてみた。
まず、今週の物語が、ジャイアントキリングという物語を動かす大きなターニングポイントになっているという事実。ETUという弱小チームがなんとかリーグで結果を残しているのは、達海という得難い監督を得たという事もあるけれども、GM時代を経てスカウトである笠野が集めた選手達の活躍が大きい。(選手である達海も含む)
しかし、功労者である笠野は、チームに貢献したい気持ちは残っていながらも、スカウト以上の仕事をしようとはしていなかった。過去にGMとして失敗した自分を恥じているし、これ以上チームに迷惑をかけたくない、もう深くチームと関わりたくないと思っているからだ。彼の言動からはそう言う気持ちが十二分に伝わってくる。
ただ一度失敗したとはいえ、笠野自身はETUというチームが大好きだということはビシビシと伝わってくる。そして達海という選手も大好きで、達海という監督を陰から支えたいという気持ちはある。ただ、自分は表に立つことはもうないと割り切ってる。
そんな笠野を達海が鼓舞するところが本当に良いんだよなぁ。
まず達海が、後半戦の戦い方・キャンプのやり方を問う。笠野は沈黙している。まるで「俺はスカウトだ、チームの戦い方を考えるのはおこがましい」と言ってているかのように。この沈黙は承知の上で、達海の独り言は続く。
しかし達海としては笠野にスカウトだけではなくてフロントに入ってもらい、チームを変えて欲しいと強く願っている。そして、補強リストを見て笠野に、あなたはチームの事を未だに強く思ってくれている、あなたの意志はよく分かっているんですよ、と促す。しかし、それは勘違いだと受け流す笠野。「じゃあ、たまたまか、笠さんのリストから感じたもんと、俺の考えがかぶっていたのは」と笠野を強く揺さぶる。しかし沈黙する笠野。
ココまでのやりとりが本当に熱い。事実を淡々と話す達海。しかしその意図は分かりつつも、過去にETUというチームを崩壊させてしまった自分にはチーム強化に正式に声を出すのはおこがましいと思う笠野の心の葛藤が見える。
とりあえず、キャンプ・補強の話では笠野の心情にはこれ以上切り込めないと思った達海は、笠野にETUというクラブ全体の話をする。過去のクラブが「選手としての達海」に全てを託したかの同じように、今のクラブが「監督としての達海」に全てを託そうとしている事実を。
ここで過去の失敗を思い出して、自分の心を大きく揺さぶられる笠野。でも、その笠野の心情を和らげるように達海には「今、自分が出来ることをやるだけ。ただ、みんなが自分の役割以上に働けるクラブが理想だよね」と語る。裏では笠野にスカウト以上の仕事をしてくれないか?と暗に促している。
なんか、このシーンは本当に好きだな。何度読んでも泣ける。そして思い出して文章を書いていても泣ける。人はどんなに大きな失敗をしたって、やりなおすことはできるし、立ち直る方向に向かうこともできるんだ、と。時間はかかるかも知れないし、成功しないかも知れないけど、とそんな事を思わせてくれた。
そして、最後にチームに戻ってくる笠野と、それを迎えるチーム関係者がいいんだよな。あのシーンでまた泣ける。なんで最近こんなに涙腺がゆるいのオイラは。
ともあれ、丹念に初回から連載を追い続けて、こんな物語が読めて本当に幸せだよな、と思った。このまま良い物語をつむぎつづけて欲しい、と切に願う。
- 作者: ツジトモ,綱本将也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/04/23
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