ワクワク人生のススメ!

自分がワクワクすることを沢山書く事で、人生を楽しくしたいな、と思ってます。

ソウルコレクター


ソウル・コレクター

ソウル・コレクター


文庫になるまで買わないというのが、オイラの今までの主義ではあったんだけど、この「ソウルコレクター」はハードカバー。最近は躊躇なくハードカバーを買っているだけど、その理由として「自分が何時死ぬか分からない」「出版不況なので、面白いシリーズはお布施のつもりで買う」「というか、読みたいなら今すぐ読むべきだろ?」という感じ。


さてソウルコレクターはリンカーンライムシリーズの8作目。シリーズ物であることを生かして、登場人物個々人の造詣にはそれほど文章は割かれず、物語を純粋に楽しむことが出来る。ただ、これは両刃の剣であって、この本から読む人はひょっとしたら面白くないのかも知れないな〜なんて思ったりもした。


そうそうシリーズ8作目で始めてリンカーンライムのいとこが登場する。なぜ、今までいとこが登場しなかったのか?という理由が壮絶。そして、リンカーンが現在の仕事をなげうって、ある殺人犯に挑むのですが...


さて、これ以上はネタバレなので、たたみます。


感想

とにかくこれはシリーズ全部読んできた人に取っては涙ものの作品。


自分のいとこアーサーにだまされ、行きたい大学に行けず、そして恋人も奪われるライム。そしてその結果、人生が狂わされ、最後には下半身不随になってしまう。違う人生を歩んでいたらこんな人生は無かったのに。ただ、自分に酷い仕打ちをしたアーサーを犯人から取り戻そうと必死に推理するライムの姿に心を打たれるんだよね。別に放置しても当然の仕打ちをアーサーはライムにしたわけだから。


そんな事を考えつつ迎える最後のシーン。無事、釈放されたアーサーがライムの家に来る場面。あそこは本当に良かった。アーサーに叔父からもらった石を返そうするライム。そして覚悟の末、ライムの家に来るアーサー。アーサーを見失い落胆するライム。でも、最後にはライムの家に現れるアーサー。そして、最後のコマンド。まー見事ですよ。ほんと。


ライムシリーズでここまで心が動いたのははじめてだな。12番目のカードの最後のシーンにも感動したけども、今回はそれ以上だよな。思わず涙が出た。


あと今回の作品はどんでん返しみたいなのが殆ど無い。オイラは逆にそのどんでん返しのなさにジェフリーディーヴァの覚悟みたいなものを感じた。どんでん返しがなくても、ここまで凄いストーリーが書けるんだぜ、みたいな、ね。


それと、とにかく犯人が非常に狡猾。まー個人情報を改ざんするとココまで色んな事ができちゃうの?と空恐ろしさを感じた。銀行口座、クレジットカードの履歴を始め、どこで買い物したのか、どんな犯罪歴があるのか、というのを改ざんするだけで一人の人生をココまで狂わせることが出来るのか、と。


ともあれ今回も読む手が止まらない本だった。脇役のパムやプラスキーの人間的成長も楽しいし、ライムとサックスの関係も気になったし、同時並行で進んでいた事件の犯人がウォッチメイカーだったと分かった瞬間、「ここまでサービスしなくても良いのに」とにやりとしながら、次回のライムとウォッチメイカーの対決が非常に楽しみになったし、個人的には大満足な一冊でした。


そうそうソウルコレクターというタイトルも空恐ろしい。犯人のコレクションが被害者の魂であり、そして蓄積されたデータ自体が魂と同じなんだよ、という暗示。原題は「The Broken Window」なんだけど、オイラ的にはソウルコレクターという方が好みだな。

今後の妄想

リンカーンライムとウォッチメイカーとの対決が激化するが、ライムが負けそうになる。そこにさっそうと登場するキャサリンダンス。ダンスの力で盛り返すが、ウォッチメイカーが逆襲する。そこでパーカーキンケイドが登場し、みたいな展開を勝手に妄想。最後はライムチームがウォッチメイカーを上回り完全勝利というのが良いなぁ。マンガみたいですが(笑)


ともあれ、微細証拠、人間観察、文書読解の3つの力で追い詰める様な作品を書いて欲しい。まぁ、この3つをまとめ上げて、かつ読者の期待を上回る作品をジェフリーディーヴァなら書けると勝手に思うんだけど、ダメかな。


ともあれ、次回のライムシリーズも楽しみです。アメリカでは2010年6月に最新刊がでるみたいですが、翻訳版が出るのは1年後とかだよね。まー非常に楽しみです。どうやらウォッチメイカーは出るみたいだし。