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砂の女

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)


安部公房の代表作「砂の女」を読んでみた。


「有名な作品」という事以外の基礎情報が一切無い状態で読めたのがラッキーだった。事前情報が無い方が作品を純粋に楽しめるから。もし、「砂の女」に興味がある方で、まっさらな気持で読みたい人がいるのならば、オイラのつたない文章に目を通している暇があったら、本屋に行って「砂の女」を買って読んだ方が良い。ほんと凄い作品。世界何十カ国に翻訳されているというだけはある不朽の名作だな〜と言うのが読後の素直な感想。


ネットでオススメされて、すぐさま買ったは良いものの数日放置していたんだけど、ある寝れない夜にふと読み始めたら読む手が止まらなくなって一気読み。久しぶりに本を一気読みした。とにかくストーリーが破天荒。破天荒なのに先が気になってしょうがないという不思議な作品。もう安部公房ってこんな作品ばっかだな。いや、こういう作品好きなんだけど。


これから先は、ちょっとネタバレっぽい話を書いちゃうかも知れないので、未読の人はもうこんな文章読むのやめて、作品読んでください。



話を簡単に要約すると、文字通りアリジゴクに取り込まれた主人公が砂の中でもがく話。ひたすら砂に囲まれている主人公の生活を読んでいると無性に喉が渇く渇く。とにかく主人公達はひたすら砂と格闘してるんだけど、なんでこんな作業をやっているのか?もっと良い土地に移り住めば良いでしょ?とか思いつつも、集落全体がかたくなに伝統を守るというのが、何かを示唆しているというか暗喩しているというか、ともかくその無駄な作業全体を守ろうとする文化がとにかく怖い。


主人公は普通の常識人(まーあんなにムシに執着があるのは普通の人じゃないかも知れないが)で、段々と砂を除去するという生活に同化せざるを得なくなってくる。一緒に生活している女性に対する愛憎がどんどん深まっていきつつも、どうにかして砂地獄から抜け出そうと足掻くところも目が離せない。そして最後のシーンの諦観さがなんか他人事には思えなかった。主人公の生き様に、社会のルールにあきらめかけている自分を投影しちゃったというか。


まーともかくすごい作品だった。また忘れた頃に読みたい。やっぱ、時代を超えて残っている小説ってのは、力があるな〜と改めて感じた。今年はこんな名作をもっと読みたいな、なんて思った。