ワクワク人生のススメ!

自分がワクワクすることを沢山書く事で、人生を楽しくしたいな、と思ってます。

獣の奏者(探求編・完結編)

獣の奏者を読み終わった。探求編と完結編。全四巻の3.4巻にあたる。

獣の奏者 (3)探求編

獣の奏者 (3)探求編

1.2巻は文庫にて既に読了済。
獣の奏者(戦蛇編・王獣編)


3.4巻を読んだ感想を率直に書くなら、作者自身が語っているとおり完璧な物語にあえて付け加える必要はないのでは?という事。


前の2巻の完成度がとにかく高かっただけに、あんまり期待値をあげて読まなかったんだけれども、それでも最後のシーンでは感動が薄かったな、という印象は否めなかった。


ともあれ、物語としてはきちんと完結したし、最後まで読む手が止まらなかったのでおもしろい小説であることは間違いないんだけども、オイラが期待していた物語とはちょっと違ったかな?という印象でした。諸手をあげてはオススメはしないけど、前2作を読んで、続きが気になるという人は読んで損はないかな?と思う。ただ、前2作と同様のカタルシスを得たいと思う人にはちょっと物足りないんじゃないかな?という気がするな。


でも、気持ちがよい物語を読ませてもらったことには間違いないです。そういう意味で作者に感謝ですね。


続きはネタバレなんでたたみます。


3巻の探求編で闘蛇の謎を解くシーンは本当にわくわくしながら読んだけれども、完結編に入って物語を収束しようとするところで、展開が早すぎてうまく収束しきれなかったな、という感じを受けた。たぶん、広げた風呂敷を全部閉じようとするのであれば、あと1巻くらいの文章量は必要だったんじゃないかな?


言い換えるなら最後のシーンに至る部分が非常に駆け足なんだよな。闘蛇と闘蛇が闘うシーンとか、闘蛇と王獣が闘うシーンとか、もっと枚数を使った方が臨場感が増したと思うし、カレンタロウからでてきた人たちも唐突感が否めない。もうちょっと丹念に王獣と闘蛇の物語を語りつつも、その末路を書いてもらった方がよかったな、という気がする。


またエリンがカレンタロウに行く展開の方が物語としての今までの流れと合致しているし、完成度は上がった気がする。けれども、きちんと終わらすためには王獣と闘蛇を闘わせざるを得ず、作者も葛藤の中で戦いの道を選んだんだろうな〜という印象も受けた。


ともあれ、エリンと王獣リランの物語はここで終わりとなったし、その後のジェシの物語を読みたいという欲求もおこらなかった。良くも悪くも物語はきちんと閉じたな、という終わり方ではあった。探求編・完結編という続編があるのなら読まざるを得ないのが人情ではあるけれども、前の2冊で終わらせても問題ないかな、という気もした。2巻のエンドは何度読んでも泣けるからな〜


なんで前回の方が完成度が高かったのか?というのをちょっと考えたんだけど、たぶん前回はリランとエリンの成長物語みたいな感じのバックボーンがきちんとあった上の物語なんだけど、今回の2冊はエリンの物語なのか、ジェシの物語なのか、はたまた国同士の戦いの物語なのか、の主題がきちんとできてなかったんだろうな、というのが影響した気がする。


物語をきちんと閉じるためには、全部について語らなきゃいけないんだけども、ジェシを出さずに、エリンに的を絞ってもおもしろい物語になったんじゃないかな?という気もする。登場人物を増やしたが故に、物語が発散した印象があるんだよな。親子の別れのシーンは良かったけども。まぁ、仮定の話をいくら語ってもしょうがないんだけども。


色々書いたけどそれはこの物語の世界観を愛している故がこそ。特にどうでもよい物語ならココまでは書こうと思わなかった。ともあれ、完結編まで読めて良かったな、という印象は残った。個人的なスゴ本では無かったけども、読んでみる価値はあると思う。