ワクワク人生のススメ!

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ゲームを安売りしないという戦略


任天堂が採用したゲームを安売りしないという戦略は、
ユーザがいつでも安心してゲームを買う事ができ、
また価格を下げないが故にゲームの利益率が下がらず、
企業として大正解だったという話。

過去の経緯

スーパーファミコンで時代を席巻した任天堂


しかし、ソニーが発売したプレステは、
ゲームメディアとしてCD−ROMを採用。
ディスクメディアになった利点として、
ディスク1枚の単価が安い事が上げられる。
※DVD、ブルーレイになっても同じ。


CD−ROMが出る前は、
ROMカセットが主流であり、
大容量ROMカセットが時代を席巻していた事もあり、
ソフトの価格は高くなる一方だった。


CD−ROMという媒体を得たプレステは、
原価の安さも相まって、一気にトップの座に躍り出る。


一方、CD−ROMはアクセスが遅いという欠点があり、
ユーザの遊びやすさを重視した任天堂は、
かたくなにROMカセットにこだわった。


ただ、ユーザはアクセスよりも価格を取り、
ROMカセットという高価格が足かせとなり、
任天堂はゲーム業界TOPの座をソニーに明け渡す事になった。

ゲームの価格が下がるという神話

ゲーム界に衝撃を与えた戦略の1つとして、
「廉価版」の存在が上げられる。


CD−ROMという媒体は原価が低いため、
スケールメリットが出やすい。
要は沢山作れば作るほど、1本辺りの単価が落ちるため、
安く販売することが可能となる。


この特性を利用し、
発売日から一定期間たったソフトを、
安く売るという戦略をとったソニーは、
ユーザから諸手を挙げて歓迎を受けた。


また最新技術を詰めこんだハードは当初の価格は高いものの、
量産効果に加え、部品価格の下落も味方に付け、
年々値段を下げる事が可能となった。


このハード価格を年々下げるという戦略も、
ユーザに取っては有り難い話であった。

廉価版のジレンマ

確かに安くなることはユーザに取って一見有り難い話だが、
ユーザ、販売店、メーカに取っては諸刃の剣の戦略でもあった。


ユーザは「廉価版」が出ることにより、
持っているソフト・ハードの価値が落ち、
中古販売時に損をすることになる。*1



販売店は、ソフト・ハードの価値が下落し、
純粋に損失が拡大する。*2


メーカにとっては、
毎年価格が下がるが故に、いつまで経っても、
利益という果実にありつけない事にもなる。*3


また、「安くなってから買おう」という戦略をとるユーザも出始め、
ソフトを発売日に買わなくても良いという結果も招いた。


ハードに至っては、
「安く・高機能・コンパクト」となることが、
あらかじめ目に見えているので、
わざわざでかい初期型を買わなくてもよい、
と思い始めたユーザも多くなった。

任天堂のハード

任天堂のハードは「枯れた技術」を使用している事で有名である。
最新技術を使わず、既存技術の組合せで新規性を出す戦略だ。


DSはゲーム機にタッチパネルを使うという新機軸はあるものの、
タッチパネル自体は、ATM等にも使われるありふれた技術。


Wiiもリモコン自体は斬新だが、
加速度センサーにBluetoothは既存の技術。


DSのCPUはPSPに劣り、
WiiもまたPS3と比較すると数段落ちる性能である。


しかし、既存の技術を使うが故に
「故障しずらい」「量産しやすい」「値段を安く押さえれる」
「最初からコンパクト構造」というメリットが出る。


既存の技術を使うが故に、
部品価格が大幅に下がる事はなく、
任天堂ハードは年々値段を下げず、
安くて良いものを同じ価格で提供するという、
戦略を取ることが出来た。


また安くするよりも、
DSliteや、DSiという高付加価値戦略にでて、
値段を上げるという戦略までも選択した。


ユーザが欲しがるモノは値段を下げる必要は無い、
という戦略がズバリ当たり、
ゲーム業界では任天堂一人勝ちの様相を呈してきた。

任天堂のソフト

任天堂ソフトの戦略として、
・値段が他社に比べ安い
・廉価版を出さない*4
というのがある。


結果として値崩れすることは有っても、
任天堂自体が廉価版を出す戦略をとらないことで、
ユーザが安心して発売日以外にソフトを買うことが出来る。


値段が下がらないということは、
販売店としても安心して在庫を確保できるという事である。*5


もちろんメーカも価格を下げなくても良いので、
最後まで利益という果実を食べ続ける事ができるわけだ。

まとめ

任天堂が出したハード・ソフトの安売りをしないという戦略は、
ユーザがいつでも安心してハード・ソフトを買うことが出来る事に加え、
メーカとしても値下げ競争に巻き込まれることなく、
ハード・ソフトを販売することができるため大正解だと言える。


もちろん、魅力のあるハード・ソフトを供給しているが故の勝利であるので、
つまらんハードやソフトを出したら、この戦略はうまくいかないのは、
言うまでもない。


おしまい。

*1:中古販売の是非はあるが、ココでは語らない。

*2:価格保証があるとも聞いているが、価格が下がり利益率が同じなら利益は減る道理。

*3:ハードが普及するが故に、ソフトの販売数が増えインセンティブが増えるという話があるが、それはまた別の話。

*4:一部ソフトではあるが、あくまでも例外

*5:もちろん在庫リスクは有るわけだが、少なくとも廉価版が出ることによる損失は免れる