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ローマ人の物語32 迷走する帝国(上)

ローマ人の物語〈32〉迷走する帝国〈上〉 (新潮文庫 し 12-82)

ローマ人の物語〈32〉迷走する帝国〈上〉 (新潮文庫 し 12-82)

塩野七生さんの本。
ローマ人の物語とのおつきあいも、
非常に長くなってきた。6年くらいかな?


さて順調に成長し続けたローマ帝国も、
ついに崩壊の芽が生えてくる、
とそんな上巻。


ローマが如何に崩壊したのか?
というのは諸説あるようですが、
今回の巻を読んで3つのポイントが有ったなと感じた。


1.すべての国民への「ローマ市民権」の付与
2.軍隊も「軍団兵」と「補助兵」の区別がなくなった。
3.司法の最高決定権を中央から地方へ委譲

1.すべての国民への「ローマ市民権」の付与


昔は奴隷から皇帝までの(理論上の)道があったが、
すべての国民へローマ市民権を付与したことで、
この流動化が無くなった。


奴隷は奴隷のまま、下層市民は下層市民のまま。
上層市民のみ皇帝への道が開かれることになった。


動脈硬化の一つの原因。


なぜ、このような法を取り入れたのか?
単なる人道的な観点からではなく、
そうせざるを得ない理由が有ったと推測できるけど、
塩野七生はそこまで掘り下げてはくれない。

2.軍隊も「軍団兵」と「補助兵」の区別がなくなった。


すべての国民に「ローマ市民権」を与えたことで、
補助兵も軍団兵と同等になった。


これにより、給与・退職金が増大し、
ローマという国の財政が悪化することになる。

3.司法の最高決定権を中央から地方へ委譲


すべての国民に市民権を与えたことで裁判が増加し、
皇帝・元老院で裁けなくなったのが理由。


これにより、
中央の権力が落ちると同時に、
地方の権力が増大し、
中央の統制力が働かなくなった。


まとめ

全国民のローマ市民化が問題で、
軍隊の高コスト化と地方権力の増大
に繋がったとも言える。


ここまで大きな変革になるわけだから、
ローマ市民権の付与は、
単なる人道的な立場でやったとは思えない。


長年の統治により、
ローマ市民権を乱発したことで、
事実上、市民権の価値が落ちていたのか?


または地方軍閥からの圧力の増大などから、
市民権の付与せざるを得ない事情が有ったのか?


この辺りを個人的には掘り下げて欲しかったな、と思う。



ともあれ、中巻、下巻も楽しみです。


どうやってローマが崩壊の課程が、
いよいよ明らかになりそうなので。