ワクワク人生のススメ!

自分がワクワクすることを沢山書く事で、人生を楽しくしたいな、と思ってます。

水源


「水源」という、
ものすごい小説にブチ当たった幸せ。


水源―The Fountainhead

水源―The Fountainhead


アメリカで500万部売れ、
20世紀を代表する小説、第2位だそうだ。*1


1000ページ2段組という辞書に匹敵するような厚み。
また50ページ読むのに1時間くらいかかったので、
都合20時間あまりを費やした計算。


毎日コツコツ読んでいたんですが、
最終章は一気読み。


非常に楽しませてもらいました。
ものすごい小説を出してくれた、
出版社・翻訳者に感謝ですね。*2


「水源」という小説は、
良い意味での自分主義を貫くことで、
日々の生活は茨の道となるが、
最終的に人生の幸せを掴む事が出来るというお話。



小説と言うよりも思想書と言った内容かな?
ただ、小説としても超一級品。


特に主人公ハワード・ロークの精神の真っ直ぐさと、
他人を受け入れない自己中心っぷりが際だっている。
フランク・ロイド・ライト*3がモデルらしい。


その他の登場人物も皆、一癖も二癖もある人たちばかり。
特に準主人公といってもよい「エルスワール・トゥーイー」のしゃべりは、
脳みそをグラグラさせてくれます。
なんとういう欺瞞に満ちたセリフの数々か!と。


ロークが強烈な光ならば、トゥーイーは漆黒の闇。
この闇の深さが光を際だたせます。


また人間社会に光だけではなく闇が必要なのが、
強烈に示唆されており、闇に飲み込まれそうになります。


その他準主役のドミニク・フランコンと
ゲイル・ワイナンドのアクの強さもすさまじい。
どちらも何とも言えないカリスマ性がある。


あと主人公の同級生で、
主役級なんだけど、
どこか冴えないピーター・キーティングも良い味を出しています。


人間誰しもピーター的な部分をもっていますので、
様々な部分で共感を覚えます。


で、この味が出すぎている登場人物達が織りなす
強烈な人間ドラマに酔いつつも、
著者であるアイン・ランドが伝えようとしている
「利己的な自己中心主義」を貫くことの尊さが、
きちんと伝わってくるのが凄い。


「水源」が与えてくれた思想的刺激は、
今まで読んだ本の中でも随一かも。
本の厚さと値段(5千円!)もすさまじいけどね(笑)


「時間」と「財力」と「根性」が有り、
エネルギーと思想と欺瞞に満ちた小説を読みたい方は、
読んでみるのをお勧めします!



読み終わった人とお酒でも飲みながら、
小説の事、人生の事を話したいな、と思った。
そんな小説。

*1:未だに売れ続けているとの事。

*2:特に、訳が小説の勢いを止めていないのがすばらしい。

*3:旧・帝国ホテルの建築家