水源
「水源」という、
ものすごい小説にブチ当たった幸せ。
- 作者: アイン・ランド,藤森かよこ
- 出版社/メーカー: ビジネス社
- 発売日: 2004/07/08
- メディア: 単行本
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アメリカで500万部売れ、
20世紀を代表する小説、第2位だそうだ。*1
1000ページ2段組という辞書に匹敵するような厚み。
また50ページ読むのに1時間くらいかかったので、
都合20時間あまりを費やした計算。
毎日コツコツ読んでいたんですが、
最終章は一気読み。
非常に楽しませてもらいました。
ものすごい小説を出してくれた、
出版社・翻訳者に感謝ですね。*2
「水源」という小説は、
良い意味での自分主義を貫くことで、
日々の生活は茨の道となるが、
最終的に人生の幸せを掴む事が出来るというお話。
小説と言うよりも思想書と言った内容かな?
ただ、小説としても超一級品。
特に主人公ハワード・ロークの精神の真っ直ぐさと、
他人を受け入れない自己中心っぷりが際だっている。
※フランク・ロイド・ライト*3がモデルらしい。
その他の登場人物も皆、一癖も二癖もある人たちばかり。
特に準主人公といってもよい「エルスワール・トゥーイー」のしゃべりは、
脳みそをグラグラさせてくれます。
なんとういう欺瞞に満ちたセリフの数々か!と。
ロークが強烈な光ならば、トゥーイーは漆黒の闇。
この闇の深さが光を際だたせます。
また人間社会に光だけではなく闇が必要なのが、
強烈に示唆されており、闇に飲み込まれそうになります。
その他準主役のドミニク・フランコンと
ゲイル・ワイナンドのアクの強さもすさまじい。
どちらも何とも言えないカリスマ性がある。
あと主人公の同級生で、
主役級なんだけど、
どこか冴えないピーター・キーティングも良い味を出しています。
人間誰しもピーター的な部分をもっていますので、
様々な部分で共感を覚えます。
で、この味が出すぎている登場人物達が織りなす
強烈な人間ドラマに酔いつつも、
著者であるアイン・ランドが伝えようとしている
「利己的な自己中心主義」を貫くことの尊さが、
きちんと伝わってくるのが凄い。
「水源」が与えてくれた思想的刺激は、
今まで読んだ本の中でも随一かも。
本の厚さと値段(5千円!)もすさまじいけどね(笑)
「時間」と「財力」と「根性」が有り、
エネルギーと思想と欺瞞に満ちた小説を読みたい方は、
読んでみるのをお勧めします!
読み終わった人とお酒でも飲みながら、
小説の事、人生の事を話したいな、と思った。
そんな小説。